大谷選手、エンジェルスと契約(現代ビジネス)
2017年 12月 17日(日曜日) 19:57

新ルールを有効活用したエンゼルス

大谷翔平選手のエンゼルス移籍が決まりました。もちろん、こちらでも大きな話題になっていて、ここ数日、街で知り合いに会うと「楽しみだね」と声をかけてくれるし、ゴルフ場に行っても「あんなスター選手をよくあの金額で獲得できたね」などと言われます。

というのもやはり、エンゼルスは獲得に名乗りを上げていましたが、(サンフランシスコ)ジャイアンツや(シアトル)マリナーズ、(サンディエゴ)パドレスあたりに比べると、条件面では苦しかったからです。

それでも、13年オフに見直されたポスティング制度によって、獲得に名乗り出たすべての球団が交渉できることになっていますので、同じテーブルには座れた。これはメジャーの伝統のひとつでもある、「マネーゲームではあるけれど、なるべく戦力は平等にしようよ」という意思の表れですね。この機会をエンゼルスはうまく使ったわけです。

金額に関しても上記ポスティングの新ルールで、入札金に当たる譲渡金の上限が2000万ドルに設定されてはいるのですが、昨年オフにはメジャーの新労使協定が発行されました。25歳未満でプロ経験が6年未満の選手はアマチュアとして扱われ、契約金の上限は475万~575万ドルに抑えられたのです。

大谷選手はこれに当てはまる、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手とみなされるため、今回の契約金は231万5000ドルにとどまりました。昨年オフに市場価格は2億ドルなんていう報道もありましたので、「おや、意外に安いな」と思ったファンも多いかもしれませんね。

地元のファンの大部分は、このあたりのレギュレーションを知りませんので「この金額でよく獲った」といった声が挙がるわけです。そのあたりはシビアな目を持つニューヨークなどの都市に比べて、のんびりしていてメジャー1年目を過ごす環境としては理想に近いかもしれません。

アナハイムやオレンンジ・カウンティには日本人もたくさん住んでるし、日本のスーパーもたくさんある。グラウンド以外の問題も解決してくれるでしょう。

 

いまのチーム力は…?

グラウンドに目を向けてみます。 まず、名前が挙がるのがアルバート・プーホルス選手やマイク・トラウト選手、ジャスティン・アップトン選手でしょう。いずれもリーグを代表する外野手で、サラリーも10ミリオン、20ミリオンです。そのクラスの選手がゴロゴロいるので、過剰な期待もないでしょう。これは大谷選手にとって大きなプラスです。

トラウト選手には移籍が決まった後、「いいチームメイトになると思うよ」とテキストメッセージを送っておきましたが、彼らは本当にナイスガイなので、大谷選手を追う日本のメディアが大挙して押し寄せても、嫌な顔はしないでしょう。

ピッチングスタッフですが、これは若干、特にスターターに厳しい部分があります。今季、勝ち頭のJ.C.ラミレスが147回を投げて11勝(10敗)。10勝を挙げているパーカー・ブライドウェルは121回を投げていますが、100イニングを投げた選手は現状、この2名のみです。

エース格のリッキー・ノラスコは181回を投げました(6勝15敗)が、FA宣言をしているので残留はないでしょう。生え抜きのギャレット・リチャーズも期待通りの結果を残せませんでした。ローテーションは手薄です。ここに大谷選手がリストアップされる可能性は小さくないですね。

また、エンゼルスには寺田庸一さんという日本人トレーナーがいます。彼の存在も心強いですね。元々は高橋尚成元投手が移籍してきた際にエンゼルスと契約したのですが、高橋元投手が移籍しても現場の選手から「優秀なトレーナーやから残ってくれ」と打診されたような実績と実力のあるトレーナーです。

大谷選手は彼と相談しながらトレーニングすることになると思いますが、ウェイトでもパンプアップというよりも、ケガ予防の柔軟性を追うメニューのほうがベターかもしれません。160試合を超える長いシーズンを戦える身体をまずは作ってほしいですね。

 

二刀流は監督次第?

二刀流についてですが、これは現段階では誰にも何とも言えません。

日本でも連日、その可能性を探る記事が出ているようですが、ベーブ・ルースさんと比較するのはちょっと無理がありますし、下部リーグの選手を引き合いに出すのも論点がズレます。現代野球ではほぼ前例がないわけですから、誰にもその是非と可能性は分からないわけです。

もちろん、そのぶん夢は大きいですよね。大谷選手は投打共にメジャーレベルですし、入団会見でメジャー初勝利とメジャー1号アーチについて「最高なのはどちらも一緒の試合でできることだと思います」と話すだけの実力は十分にあります。

それでもすべてはキャンプインして、マイク・ソーシア監督が大谷選手をじっくり観察してからだと思います。

現段階では、手薄な先発陣に入るのか。ブルペンを守るのか。それらをしながら代打としてベンチに入るのか。二刀流を含め、チームと相談して役割を探しながらのシーズンになることは間違いないと思います。

野手あるいは打者として考えると、外野は先ほども紹介したトラウト、アップトンに加え、コール・カルフーンという不動の選手が固めています。DHはプーホルスですが、彼は元々、1塁手だったのでファーストを守って大谷選手がDHという起用も考えられます。まずは不動の外野の休養日、プホルスの1塁起用の際などが現実的な選択肢になってくるでしょう。

いずれにしても、こんなに多くのパターンでシーズンを通してチームに貢献できる可能性を持った選手はそうそういません。まずはケガに気をつけながら、充実のキャンプを過ごし、自身の仕事を見つけてほしいですね。

長谷川滋利 & 竹田聡一郎(編集)